老舗ベーカリーコンサル会社が出した、女性役員陣への事業承継の結論

株式会社ダイユー
創業、昭和47年10月。大型ベーカリーショップの開業支援専門会社。創業以来、日本全国で1200店舗以上にのぼるベーカリー店舗のオーナーの開業を支援。その独自の開業指導で1店舗あたり年商1億円超えのベーカリーを開業させることに強みを持つ。まさに、ベーカリー業界のトップコンサルティングカンパニーである。
「パン屋で成功したければダイユーに相談しろ」というのは、ベーカリー業界を知る人であれば、誰もが口にする言葉。
創業者は、現・代表取締役会長の星野良信氏。現在は、良信氏から、双子のお嬢様である代表取締役社長の星野理絵氏・専務取締役の吉田(旧姓星野)志津氏に事業承継を成功させ、「次世代ダイユー」として更なる企業発展の道を歩み始めている。

あわわの師さん本日は、株式会社ダイユーの星野理絵社長と、吉田志津専務にお時間をいただき、お話をお伺いいたします。ご多忙のところ、ありがとうございます。

大行列ができるパン屋さん

あわわの師さん早速ですが、この度のインタビューをさせていただくにあたり、私、ダイユーが開店を支援されたベーカリーの数店舗に、こっそりとお伺いしてみました。それで、びっくりしたのですが、日曜日の朝に、大行列が出来ているんですね。日曜日の、静かな郊外の道路に車が行列を作り、店舗の入り口にも大行列ができていました。正直、私、パンを買うのに店の外までの行列に並んだことがなかったので、かなり、カルチャーショックを受けたわけです。パンも、それもびっくりするくらいに美味しい。
ダイユーさんが支援されたお店は、みんなあのような状態になるのですか?

星野社長:お店にご訪問いただき、ありがとうございます。すべての店がそうだとはいえませんが、多くの店は、地域で一番店のベーカリーになられていますね。店の外まで行列ができるのは、ダイユーの支援店舗では普通です。

あわわの師さんすごいですね。こんなことをお聞きするのは、企業秘密だと思いますが、どうしてそんなことができるのでしょうか?

星野社長:(苦笑い)そうですね。勿論、細かいことは、コンサルティングのノウハウとして、お客様に伝授させていたくのですが、商品開発・製造・店舗・厨房・マーケティング・接客・人材教育など、独自の方法の組み合わせの結果です。それで、1店舗あたり日商40万円以上を出していただくのが、ダイユーの指導です。1店舗で日商40万円出せば、年商は1億円を達成します。逆をかえせば、ダイユーでは、日商40万円以上を出せない物件やオーナー様には、ご支援は致しません。

あわわの師さんすばらしい。経営コンサルティング会社の「理想的な姿」ですね。

事業承継までの道のり

あわわの師さんさて、星野社長、吉田専務は、お父様である良信会長が、40年以上にわたって作り上げてきた、まさに、「ベーカリ-コンサルティングのトップ企業」を事業承継されたわけです。ちなみに、おふたりは、双子の姉妹でいらっしゃるんですよね?

吉田専務:はい、理絵(社長)が姉で、私が妹の双子です。

あわわの師さんベーカリーというのは、職人さんが早朝から仕事を開始され、日商40万円以上を売るということは、終日、相当な労働量をこなされる世界ですよね。
ある意味、男臭い職人さんの世界だと思うのですが、女性で事業を承継されるということには抵抗はありませんでしたか?

星野社長:私たちは、それぞれ、別の職場を経験した後、ダイユーに入り、父の下で、それぞれ、仕事をいたしました。

しかし、やはり、父が引退し、役員を継ぐということを見据えると、非常に迷いました。一時は、事業承継自体を辞めようかとも相談したこともあります。父は、本当にベーカリーのオーナーの皆様から、カリスマのように慕われていましたから、私もそれに押しつぶされそうになったこともあります。

あわわの師さんそうでしょうね。何が、事業承継の決断を後押されたのでしょうか?

星野社長:父が、実は、二度ほど病気で倒れたんです。私たちが継ぐと決めなければ、例えば、M&Aでの売却のような結論になってしまうわけです。しかし、コンサルティングという仕事は、株式を売却して、大企業が買われても、資本の力で出来るわけではないわけです。

コンサルティング会社の最大の経営資源は、おカネでも、設備でもありません。ヒトの持っているノウハウが、会社のナレッジとして蓄積されたものです。それが最大の経営資源であり、利益の源泉になります。つまり、従業員が、それぞれの分野のプロとして、そのナレッジがダイユーのコンサルとして総合的に発揮されて、そこにはじめて、大きな売り上げを出す店づくりが提案できるのです。そんな従業員が、今後も力を発揮できるように、よい職場を作り続けるには、どうするかと考えたら、それは私たちがやるしかないと思ったわけです。父の時代に、実績を残してくれた従業員のことを考えたとき、私たちがやる、という、事業承継の結論が出たわけです。

ナンバー1とナンバー2の関係

あわわの師さんなるほど。ちなみに、今、星野社長と吉田専務は、どのような役割分担をされて、経営をされておられるのですか?

吉田専務:理絵(社長)は、経営全般とプロデュース部門の責任者として、重要顧客の提案を総括しています。私は、経理・人事など、支援部門の責任者です。私たち、双子の姉妹ですが、お互い、性格が反対なんです(笑)。理絵(社長)は、男っぽくって、大胆な性格で営業向きだよね。

星野社長:それで、志津(専務)は、緻密で、じっくりと思慮を巡らせるタイプ。反対の性格で、よく喧嘩するけど、いいコンビかな?

あわわの師さんそれはとてもよいですよね。事業承継で、最も難しいのは、承継された社長が、ナンバー2を誰にするかという点です。その点、姉妹で、協力関係を作られて、相互に強みを生かされ、事業承継をされるというのは、とても理想的な形ですね。ここが、ダイユーさんの事業承継の成功の一番の秘訣かもしれませんね。

今後の企業の成長ベクトル

あわわの師さんお父様が、大きな実績を残され、それを継ぐ方は、その実績を活かしながら、新たな時代に適合した新しい経営を志向する必要があります。この点、ダイユーさんは、星野社長の時代になってから、新たに人材派遣事業に参入されましたね。

星野社長:ダイユーは、ベーカリー専門の人材派遣事業を開業しました。

従来、ダイユーは、パン職人さんを応援員という形で、お客様の店の開店要員としてご紹介をしていました。

しかし、パン業界を含む飲食業界では、まさに、人材が枯渇をはじめています。応援員というのは、お客様に雇用条件をお任せする方式ですが、中には、雇用に関して、認識が間違っている企業もあります。そうなると、企業と応援員との間で、雇用条件を巡り、問題が起きてしまい、ダイユーがそこに巻き込まれて、応援員を失いかねません。

まさに、飲食業は今、「ヒトが採れないで倒産する時代」に突入したわけですし、企業側に都合のよい条件で働いてくれる人が採れる時代ではありません。

そこで、働くパン職人さんの労働条件を守り、パン職人さんが、将来独立ができる基盤をしっかり守るため、ダイユーが雇用し、人材派遣をする形に切り替えをしました。

あわわの師さん非常に重要な方向転換ですね。お客様も長期的に、優良な職人さんが雇用できて、はじめて安定した売上げがあがるわけです。職人さんの雇用条件を改善するため、新規事業として人材派遣事業に進出したのは、まさに、本業とのシナジーの観点からも、時代に適合した新規事業という観点からも、最適な成長ベクトルですね。
本日は、お忙しい中、お時間をいただき、ありがとうございました。

星野社長、吉田専務:こちらこそ、ありがとうございました。

【インタビューを終えて】

補完とバランスが、未来のシナジーを生みだす事業承継

星野理絵社長は、笑顔がとても素敵な女性社長だ。私が、「理想的な女性社長」という絵を画家に描かせるとしたら、星野社長をモデルにするのがよいと感じた。よく笑い、そして、経営の話をされるときには、鋭い眼光が目の底に閃く。

一方、志津専務は、少女のような純粋さを残される、知性的な女性取締役だ。

そして何よりも、このおふたりの、バランスがよい。おそらくは、経営の課題を補完しあい、難題も相談しながら乗り越えていかれているに違いない。

事業承継では、承継される社長が、旧社長の側近取締役に囲まれて孤立しがちだ。

ダイユーの事業承継は、このおふたりの相互補完とバランスある協力が、成功された要因だったのだろう。

株式会社ダイユー コーポレートサイトURL

https://www.daiyu.net

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