強豪欧米のサッカー教育の水準とシステムを採り入れて差別化を図る、スポーツ教育

株式会社日独フットボール・アカデミー
サッカーの本流である欧州。中でも、世界一の育成プログラムを有すると言われるのが、ドイツだ。そのドイツのワールドカップ優勝の原動力ともなったユースアカデミーのプログラムを基軸に、日本の小学生を中心とした若き選抜選手に、合理的な育成を施す教育企業が日独フットボール・アカデミーである。
日本のスポーツ指導の常識を覆す方法論で、欧州チャンピオンリーグで活躍する選手の育成を目指すという、極めて「尖った商品」に、何故、進出をしたのだろうか?
その熱き想いと、マーケティング戦略を、株式会社日独フットボール・アカデミー代表取締役 西松文章社長にインタビューでお聞きした。

あわわの師さん本日は、東京の神谷町にある、株式会社日独フットボール・アカデミーの本社にお伺いしております。
ご多忙の中、お時間をいただきありがとうございます。よろしくお願いいたします。

西松社長:こちらこそ、よろしくお願いいたします。

何故、ドイツの育成システムを小学生に行うスポーツ教育事業に参入?

あわわの師さんさて、私、この度、インタビューをさせていただくにあたり、御社の資料や、報道された映像を拝見して参りました。
まず、西松社長。どのような経緯で、この事業の立ち上げに至られたのでしょうか?

西松社長:はい。私、実は、もともとサッカーの世界の関係の人間ではないのです。また、サッカーの世界に、直接的な厚い人脈も有していません。

もともと、私は、大手広告代理店の子会社でのマーケティング業務から社会人経験をスタートさせました。その後、主にマーケティング戦略や業務を中心に、仕事人生を歩んでまいりました。

その中では、もちろんサラリーマンですから、なかなか自分の想いを実現する仕事ができたわけではありません。広告代理店業務では、効果についての責任をお客様にとれずに悔しい想いを抱いたり、マーケティングの業務をやっていたら、その裏側を見抜いてコントロールする投資効果測定の業務に回されたりと、なかなかフラストレーションも溜めたわけです。

定年退社を迎え、自分自身の中で、やりたいことを自問自答したとき、自分が好きだったサッカーで、若者に世界一流の育成を施し、世界のプレーヤーとして活躍させるという、仕事を目指そうと思い至ったわけです。

あわわの師さんそれは、壮大な第二の人生への構想ですね。

西松社長:ありがとうございます。

あわわの師さん構想自体は、いつ頃から抱かれたのですか?

西松社長:そうですね。在職中の50歳のころから、準備をはじめました。

最大のチャンスだったのは、SVヴェルダー・ブレーメンが、日本選手に着目し始めていたことです。そこで、じゃ、私どもが「育った選手」を提供するのではなく、小学生から育成をすることで、SVヴェルダー・ブレーメンと提携をさせていただきました。

あわわの師さんそれは、すごいですね。具体的には、御社の育成選手の方と、SVヴェルダー・ブレーメンとの関係は、どのような形になるのですか?

西松社長:当社で育成した選手については、SVヴェルダー・ブレーメンが、最優先交渉権を持つという形です。

そのうえで、弊社では、名誉校長にドイツ有数の監督であるトーマス・シャーフ氏を迎え、SVヴェルダー・ブレーメン・ユース・アカデミーのチーフスカウトであるフランク・オルデヴィッツ校長、そして、2名のドイツサッカー協会公認ライセンスコーチを中心に日々のトレーニングを実施する体制を作ることができました。

ドイツの育成システムと日本の違い

あわわの師さん御社のプレス報道をされた映像を拝見しました。御社のトレーニングは、90分の時間限定トレーニングを、週に3回という、かなり日本の育成と比較すると、時間的に少ないトレーニングですね。

西松社長:その通りです。
実際、ご父兄の方の中には、これでは少なすぎるのではないかという感想を抱かれる方もおられます。

あわわの師さん端的にまとめると、御社のドイツ流のトレーニングの方針は、極めて戦略性・計画性の高い、実戦重視型の育成ということですね。

西松社長:はい、日本ではどちらかというと、精神性やしごきのような要素が、スポーツの育成では多く見られます。しかし、既に、日本でも、たびたび相撲やラグビーなどで問題になっているように、「しごき」や「怒鳴り」、あるいは、上の指示絶対という要素を、時代が許さなくなっております。

一方で、オリンピック選手の育成などでは、非常に科学的な方法で、戦略的・計画的に育成が行われています。

サッカーでも、世界水準の選手を創るためには、従来の日本の精神的・体育会的な育成では、限界にきていると思います。

育成における欧州のトレーニング方法が、日本のそれと一番異なるのは、指導者個人の資質や考えによってそれが変わるものではないという点です。

トレーニング方法が明文化されており、当アカデミーでも育成カリキュラムとして書面にし、コーチ陣に共有しています。

「選抜」という要素と経営の採算性

あわわの師さん御社の経営のお話をお聞きします。御社の収入源は、選手のご父兄からの指導料金ですね?

西松社長:はい、いまはそうです。

あわわの師さん御社では、小学生の中学年の選手を校長自ら審査するという、かなり厳しい選抜制及び少人数制を採用されていますね。スポーツ選手の場合、どうしても、プロになれる選手かどうかは、才能が、かなり重要な要素です。確かにそれが現実ですから、選抜制は結果を出すためには、とても重要なことだと思います。
ただ、企業としてみた場合、選抜し少人数で育成をすると、収入を減らすことになりますね。つまり、プロ育成という要素と、経営が緊張関係に立ちませんか?

西松社長:ご指摘の通りです。日本のサッカー指導の育成機関は、選抜制を採用するコースを持つところもありますが、その他に誰でも入れるコースを設け、大人数を受け入れることで採算をとっていることが多いですね。

しかし、それでは、ご指摘の通り、結果が出てきません。

経営的には、非常に難しいのですが、そこを曲げずに、当社では選抜制及び指導者が十分に目を配れる少人数制を貫いています。

一方で、安定した経営の観点からも収入の確保は重要です。そのため、いま、選抜選手の母体になる低学年の選手には選抜制を課さずに指導する別のプログラムを導入したり、サッカーの指導者向けに明文化された欧州の指導教材を販売するなどの、別の収入モデルを構築しているところです。

あわわの師さんなるほど。このあたりが、西松社長の、次のビジネスとしての仕掛けということですね。
また、御社では、選手に欧州で活躍するために、サッカーのトレーニングに加えて、英語のトレーニングや、ドイツでの現地トレーニングも導入されていますが、このあたりの多角的な教育プログラムも、様々なポテンシャルがありますね。
是非、御社ご出身の選手が、世界で活躍する日を楽しみにしております。
今日は、ありがとうございました。

西松社長:こちらこそ、ありがとうございました。

【インタビューを終えて】

定年退職後、若者の飛躍の夢に第二の人生をかけるという、清々しい生き方

「サラリーマン時代には、なかなか思うようには生きられないのです」と、西松社長は笑いながら、私にそう言われた。

そう、それはサラリーマンであれば誰もが抱く、苦々しい想いだ。

ただ、その想いをバネに、定年退職後、第二の人生を、少年たちが欧州のプロサッカー選手に羽ばたく夢にかける教育事業を起業する、ということは、そう簡単に誰でもできることではない。

歳をとれば、誰もが保守的になり、いつまで続くかわからない老後の不安が押し寄せてくるものだ。

「僕は生涯現役で通しますよ」と現役時代には豪語していた人物が、定年退職後、奥さんの「ぬれ落ち葉」になることは普通のことだ。現役時代には、活躍していたのに、今や、奥さんからも家に居座って邪魔にされるに至った高齢男性諸氏が、私の周りにも、たくさんいる。

そんな中で、定年退職後の第二の人生を、少年たちが、サッカーの強豪である欧州に飛躍するための事業に投資をする、という西松社長の生き方に、私は清々しさを感じた。

少年たちを見守り、少年たちと一緒にドイツに合宿に出かける西松社長の顔が、やはり少年のように輝いていたのが印象的だった。

日独フットボール・アカデミーは、選抜制を守るゆえに、収益性は苦しいに違いない。このような企業を、我々、経営コンサルタントが、「収益モデルが不十分」と訳知り顔で分析するのは、いとも簡単だ。

しかし、流動性でも、収益性でも、分析しきれない中小企業の価値というものがあるのだと私は信じている。それは、事業に向けた経営者の「熱い想い」だ。大企業には決してない、オーナー経営の中小企業だけが持つ、大切な価値なのだ。

少年のように微笑む西松社長の瞳の中に燃える熱い想いが、今後、この会社の収益性の課題を乗り越えさせ、少年たちを、欧州へと羽ばたかせるに違いない。

私は、そう信じたい。

株式会社日独フットボール・アカデミー サイトURL

http://jgfa.co.jp

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