未来志向の事業承継の手法としての、M&Aに挑む

株式会社クラリスキャピタル
創業、2014年5月。大手M&Aブティックの企業で実績を積んだ牧野安与社長が、創業。
専門職の経営者が多く、比較的閉鎖的なM&Aの業界。その中で、いち早く、ウエブサイトでの集客を主力として、業界最安値水準の仲介手数料を打ち出し、短期間で多くの実績をあげる成長企業。
M&A業界の企業ではめずらしい女性社長の牧野社長に、事業承継の手段として有力になりつつあるM&Aの今と、その未来をお伺いした。

あわわの師さん本日は、株式会社クラリスキャピタルの牧野安与社長に、お話をお伺いいたします。
クラリスキャピタルの中央区八丁堀の本社にお伺いしております。
牧野社長、ご多忙のところ、ありがとうございます。

子育てと社長業の両立

あわわの師さん牧野社長は、取材をさせていただいている2018年9月現在、お腹に第2子目になる赤ちゃんがおられるとお聴きしました。本日は、ご無理なされていませんか?

牧野社長:いえいえ。もう安定期に入っていますので、仕事も普通にこなしております。
ちょっと、妊娠してから太っちゃいまして、それで、取材の写真映りがどうかなっていうのが心配です(笑)。

あわわの師さんいえいえ。大丈夫です。
とてもお綺麗で、私が書かなければ、写真だけでは、全然、妊娠されているってわかりませんよ(でも、書いちゃってますけどね)。
これから、お2人の子育てと社長業の両立への挑戦ですね。

牧野社長:はい。引き続き、マイペースで、自然体で、やっていこうと思っています。

何故、独立にあたり、M&Aに集中したのか?

あわわの師さんさて、牧野社長は、前職が有名なM&Aのブティック企業にお勤めになられ、そこから独立されておられますよね。前職では、人材紹介業を担当された後、M&A事業の担当をされておられたとのこと。
何故、独立されるにあたって、人材紹介業ではなく、M&A事業をご自身の会社の事業として選択されたのですか?

牧野社長:はい。いずれも、「人と人のマッチング」(人材紹介業)か、「企業と企業のマッチングか」(M&A事業)という点が違うだけで、ビジネスモデルは似ており、親和性のあるビジネスで、ご縁づくりという観点では、どちらも好きなビジネスです。

しかし、人材紹介業を行わず、M&A事業に注力したのは、私の「想い」というものよりは、純粋に経営的な理由からです。

起業して間もない時期はヒトモノカネのリソースが限られるため、低コストで始められて、ランニングコストを抑えることが必要だと考えました。そのため、人材紹介業より比較的に低コストでスタート・運営できるM&A事業に注力しました。

人材紹介業(有料職業紹介事業)は厚生労働省大臣の許可が必要で、事業を行う事業所は、面積等の一定の要件を満たさなければなりません。また、財産的基礎の要件などもあります。ランニングコストとしては、転職サイトなどを利用すると、その利用料が固定費としてかかるため、人材紹介業を開業する場合には、初期投資と運転資金をある程度用意する必要があると思いました。

一方、M&A事業は、許認可を要せず、低資本で始めることができ、売りも買いも、その情報収集力は、企業独自の力で決まります。投資を受ける側も、投資をする側も、BtoBですから、中小企業のアドバイザリー会社でも、独自の情報網を駆使して、成約率を高めることができます。
これが、M&A事業に集中した理由です。

競合との競争の中で成長するには

あわわの師さんなるほど。
一方で、今、M&Aの仲介業者も、非常に増えていますよね。異業種からでも、相当に新規参入が多い。
この中で、御社は確実に成長されておられますが、それはどのような経営姿勢に理由があると思われますか?

牧野社長:まず、弊社が設立した数年前。M&A業の小規模ブディックは、意外とHPを設けるところは少ない状態でした。個人で活動されているM&Aアドバイザーは人脈を活かした営業活動を中心にされている方が多かったからかもしれません。HPがそもそもなかったり、あってもHPに料金体系を明示されていないM&Aブティックも多かったので、外側から観ると、お客様はよくわからないということもあったと思います。

弊社は、私が女性であるので、「きめ細やかさ」「女性らしさ」などの要素を、サイトで打ち出し、他社と差別化を図り、料金体制も明確に記載しました。
また、弊社は着手金や中間金をいただかない、完全成功報酬制をとっており、その成功報酬の額も当時としては、成功報酬を最安値レベルの価格水準で明示しました。

また、弊社は、業者間の提携関係を重視し、仲介形態にこだわらず、広くアドバイザリー形態も含めて成約を目指す方針ですので、成立件数が多くなっています。

あわわの師さん日本では、M&Aを「両手」の仲介(買い側と売り側双方から手数料を受け取ること)で平気でやりますね。アメリカでは、仲介でのM&Aは双方代理の禁止に触れますから、必ず、M&Aでは、投資をする側、投資を受ける側が、それぞれ、アドバイザリーをつけ、その双方のアドバイザリーが、自分の依頼企業のために火花を散らせて交渉するという、非常にハードな交渉形態が普通です。

日本でも、民法108条で双方代理が禁じられていますが、両当事者に仲介契約書の特約でこれを合意させ、事実上、双方代理で仲介をするのが、日本では、不動産業界でも、M&A業界でも、常識化していますよね。

あれは、私たち、経営コンサルタントから観ると、結構、「成約をさせて手数料を優先させるため、どちらかの当事者、それもどちらかといえば売り側に不利な代理行為をしているんじゃないの?」と疑いたくなりますよ。外資系の企業の目から観ると、非常に不公正な業界慣行です。
おそらく、今は、M&Aは事業承継型が多く、売り手市場なので、成り立っているのではないかと思いますが、果たして、長期的に、今のような仲介中心のビジネスモデルで、M&Aの業界がたち行くのかどうか、私は疑問だと個人的には感じています。

牧野社長:あわわの師さんのご指摘はいつも鋭く、厳しいです笑。仲介にはおっしゃるような問題が起こりかねないため、中立・公平な立場と高い職業倫理を保つことが我々M&Aアドバイザーに求められると思います。

ただ、私は仲介というあり方に対して、否定的ではありません。実際、当社でも仲介形態をとることがあり、成約実績のうち3分の1ほどを仲介形態が占めています。

交渉の文化がある欧米に対して、和を重んじる日本においては、双方の合意の着地点を探るやり方が合っているように思います。それをお手伝いすることにM&Aアドバイザーの役割の一つがあると思っています。私は自分のことを、会社と会社のご縁(結婚)を取り持つ、結婚相談所のおばちゃんみたいなものと言っているくらいなんですよ。

そうはいっていても、あわわの師さんがおっしゃるように、仲介形態自体が禁じられたり、仲介を行うM&A業界が立ち行かなくなるという将来が来てしまうのかもしれないですが…。

一方で、弊社では、必ずしも仲介形態にこだわっていることもなく、アドバイザリー形態でも業務を行います。弊社の想いは自社の利益を追い求めることことではなく、お客様にとってよい良いご縁づくりのお手伝いをしたい、それだけです。報酬を追い求めなくてよいように、低コストでの運営を行っています。そのため、負債が多く、純資産価値とのれんをあわせても、価値が出てこないような企業様についても、取り組ませていただいております。

あわわの師さんつまり、他のM&Aの仲介会社が手数料がとれないと判断してお断りした企業でも、お引き受けをする場合があるということでしょうか?

牧野社長:はい、そうです。売り側は、「1円で売る」ことになりますが、買い側には売り側の負債を引き受けていただきますので、売り側の社長は負債から解放され、従業員も雇用が継続されます。

このような企業が無理をして経営を継続し、銀行が貸し付ける限度を超えて、事業を継続し、赤字を出し続ければ、取り返しのつかないところまで行ってしまう場合もあります。
そうなれば、従業員は解雇せざるをえなくなり、会社も、借入金の個人保証をしている社長も、最悪は共に破産です。

あわわの師さん報酬を「片手」でも受け、成立させるからできることですね。両手の手数料に拘る仲介形態では、手数料を出せない「売り」は、客ではないですからね。

私は、今、牧野社長からお話のあった、再生型のM&Aは、今後、低成長に移行した日本の社会全体から見ても必要なのではないかと思っています。
日本では、破産をしてからの再起は、物凄く困難ですからね。

「借金をして、返せなくなったら、破産すればよい」などということを無責任に言いふらす人も最近はいますが、そんなヒトに限って、自分は破産したことはないんですよね(笑)。
破産の本当の怖さを知らないで言っている。

私は、経営コンサルタントとして、これまで、何度も、破産歴のある社長の再起事業の創業をお手伝いして成功させてきました。破産してから、少なくとも10年間は、本当に大変です。
普通の方の創業の数倍の力量が必要です。

ですから、傷が浅いうちに、M&Aで、経営を代わってもらうということは合理的です。破産を食い止め、早いうちに個人保証から解放させて再出発をさせることができます。

また、今後の日本には、社長の高齢化や、事業承継はしてみたものの経営に向いていない「アマチュア二世社長」などの出現によって、「売りもの」としての価格はつかないけれど、一方、プロの経営者がつけば大きく再生できるという企業が多数出てくると思います。

資本力のある企業や、腕に覚えのある経営者にとって、これらの企業を「1円+負債の個人保証の引き取り」で買い取り、累損を法人税の節税に利用しながら、再生して爆発的な資本収益率を生みだす事業に変えていく、ということが出てくるように思います。

牧野社長:はい。弊社の場合、買い側だけにつくアドバイザリー形態を使い、事実上、仲介手数料がとれない売り側案件のM&Aを成立させることもできます。

ご指摘の通り、これはおそらく、これは、とても社会性のあることだと思います。社長も借金の連帯保証から解放され、新たな道を模索することができますし、従業員も雇用の安定と新たな挑戦のステージを与えられますから。

あわわの師さんこれまで、M&Aは、買い側から観ると、「新規事業スピードをあげるための手段」でした。
しかし、今後は、日本企業の社長の高齢化の中で、「再生案件としての爆発的資本収益率を生みだす手段」として位置付けることもできると思います。
このような価値を、大手企業や強い経営者に発信することで、他のM&Aの仲介会社が手掛けられない案件の成立を創出していきたいと思います。

本日は、ありがとうございました。
牧野社長、お身体をご自愛され、元気な赤ちゃんをご出産くださいね。

牧野社長:ありがとうございます。

【インタビューを終えて】

未来の、日本の企業社会の健全性創出に向けたM&Aの挑戦

今回のインタビューは、M&Aというプロの世界の企業の社長様だったため、経営のプロ以外の読者の方には、内容的にわかりにくかったかもしれない。

仲介ビジネスというのは、二つの相対する当事者をマッチングさせるビジネスモデルだ。
そのビジネスで、仲介者が利益を最大化するには、両方から手数料を多額に取るのが、仲介者にとって、最も「美味しい」

現に、M&A仲介会社の上場企業は、上場企業の中でもトップクラスの高利益率の決算を出している。

M&Aという手法は、今後も日本のビジネスの世界で拡大を続けるだろう。しかし、今のような、「濡れ手に粟」の仲介会社のビジネスが法規制を受けないまま存続するかといえば、私は難しいと考えている。

M&Aの母国であるアメリカでは、M&Aは、企業という社会的な「器」を健全に継続させるため、資本の力を使っての、企業経営の健全な交代を実現する方法として機能している。

独裁国家や社会主義での国営企業が真似のできない、資本主義社会だけが用いることができる企業の健全化を促す手法だ。
この手法が、更に日本の企業を健全に保たせるように機能するため、仲介会社中心の業界構造は、かわらなければならない。

わかりやすく、低価格な料金体系。
相談しやすいシステム。
そして、柔軟なビジネスモデル。

クラリスキャピタルは、このような「当たり前」をM&Aという「小難しい」業界に持ち込んだことで、成長を遂げたのだろう。

そして、今後の業界をリードする存在に育っていくに違いない。

株式会社クラリスキャピタル サイトURL

http://clarisc.co.jp

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