鉄筋職人のアルバイトからスタートして、社長を承継。その熱い挑戦をお聴きする。

株式会社エイト
不動産と建物総合管理業を展開する企業が、コンクリート研磨技術で日本最高水準の事業化に挑戦し続けている。こんな情報をお聴きした。
しかも、その技術は、アルバイトからスタートした社長が、自分で研究の上、開発されたという。そして、当時の社長が、その手腕を見込み、彼を後継の社長に抜擢されたとのこと。
この興味深い事業承継を果たされた、東京八王子にある株式会社エイトの門倉裕社長にインタビューするため、京王八王子駅に隣接する、株式会社エイトの自社ビルに入る、同社の本社を訪問した。

あわわの師さん本日は、株式会社エイトで、昨年、新たに社長に就任された門倉裕代表にインタビューさせていただきます。
社長、ご多忙の中、お時間をいただき、ありがとうございます。

門倉社長:いえいえ。こちらこそ、八王子までお越しいただき、恐れ入ります。

入社からの仕事の経緯

エイトビル外観

エイト本社ビル外観

あわわの師さん門倉社長は、現会長の白柳代表とはご親戚等のご関係ではないですね。社員から社長にご就任になられておられます。
まず、ご入社の経緯を教えてください。

門倉社長:はい。僕は、最初、定時制高校時代のバイトで、鉄筋の職人の仕事でエイトに入りました。
社員に採用された後は、運送の業務や、損保保険の販売での営業、不動産仲介などを経験しました。

あわわの師さんエイトさんは、事業を幅広く展開されてこられたので、同じ企業内で、色々な経験を積まれたということですね。

門倉社長:そうです。現場で運送をやったり、保険を営業したり、宅建をとって不動産の仲介をしたりと、幅ひろく勉強させていただきました。

そして、その後、米軍基地の仕事を受注する事業に回ったわけです。
最初、会社は米軍から芝刈りの業務を受注したんですよ。その時の、弊社のプロジェクトマネージャーが、お客様である米軍から、あまり高く評価されていませんでした。

その結果、米軍の検査官から、門倉をプロジェクトマネージャーにするなら、発注をエイトに継続する、というお話を会社にいただいたのです。

それで、僕がプロジェクトマネージャーにつきました。

あわわの師さんお客様からご指名があったわけですね。

門倉社長:そうです。これで僕が職人さんを100名程、束ねることになりました。

班長に5名程度をまとめさせ、その班長を僕がまとめる組織を作りました。そして、腕の腕章で職級を明示し、その職級に応じた賃金体制を整備したんです。

あわわの師さん職人さんの組織を構築し、職階を可視化して、賃金を能力や働き方に応じて明確化させたわけですね。

門倉社長:そういうことです。

こういったことをしながら、仕事を順調に進め、米軍の幹部の方々からの信頼をえながら、人間関係を創っていきました。
横田基地のお仕事からスタートし、その時の幹部の方が沖縄に移動されたことから、米軍から乞われて、沖縄での仕事をさせていただくようになりました。

うちの会社、沖縄に営業所を持っていませんでしたから、沖縄の仕事を引き受けることを最初は、ためらったんです。
しかし、協議を重ねて、米軍のエイトにご依頼いただく信頼に応えるため、沖縄に営業所を出し、沖縄の米軍の仕事をしはじめたんです。

あわわの師さんおお!米軍の仕事を受注する日本企業は多いでしょうが、そこまで、米軍から信頼されるというのは、素晴らしいですね。
米軍の性格上、本当に信頼できる会社に仕事を集中して発注したいんでしょうね。

門倉社長:はい。そのような信頼という観点からは、米軍の横田基地の新聞づくりも、お任せいただいておりました。

コンクリート研磨という新規事業への進出

コンクリート研磨研磨

門倉社長:ただ、一方では、米軍も非常に公明性を重視するアメリカの組織ですから、業者は入札制で選定されることが多いわけです。
そうなると、いかに、実績があって、人間関係を構築していても、会社としては仕事をなくすリスクはあるわけです。

このような事業のリスクを想定する中で、新規事業として、海外のコンクリート研磨という技術に僕が目を付けたんです。

あわわの師さんコンクリート研磨という技術は、御社が日本で唯一の高い技術を持っておられるとお聴きしましたが、どのようなものなのでしょうか?

門倉社長:床材として利用する大理石とは異なり、継ぎ目のない、ピカピカの光沢をコンクリートで実現する技術です。

コンクリート研磨

コンクリートというのは、環境的に、温度や湿度の差で、施工の方法が異なります。はじめは、ホント、うまくいかなかったんです。
僕は、自分で顕微鏡で研究を重ね、海外の高い技術をもつ企業を訪問して学び、コンクリートの研磨の研究を自ら行いました。

僕、こう見えて、理数系に強いんですよ。

アメリカまで行って、コンクリート研磨のライセンスもとりました。
中国・台湾・ドイツ・タイなど8か国の高い技術を持つ企業と提携し、技術・科学研究・数学的な計算による数値の割り出しなど、勉強と研究を続けています。

ヒトが出来ることで、自分が出来ないことはない!

あわわの師さん私がお聞きして驚いたのは、不動産会社の社員の方が、建材としてのコンクリートという素材に着目し、それを、そこまで研究し、海外に足を運んで技術と知識を高め、最高水準の商品開発をしてしまうという、そこですね。
その圧倒的な努力を、当時の社長が見込み、次世代の会社の経営を任せた、ということですね。
今は、社長業がお忙しいと思いますが、その合間を縫って、海外にも研究や視察に出かけ、勉強も続けておられるのでしょう?

門倉社長:そうそう。僕ね、ヒトが出来ていることで、自分ができないことないというのが信念なんです。
どんなことでも、ヒトが出来ていることは、乗り越えられると。

僕は、ヒトと話をしていると、そのヒトがどのくらい本を読んで勉強しているか、大体、わかっちゃう。
そういう意味で、社員にも、その人の職階に応じて、本を読んでほしいと話をしています。

あんまり、読んでくれないけど(笑)。

事業展開の戦略

あわわの師さん今後、社長は、御社の経営戦略について、どのような方針を立てておられますか?

門倉社長:二つの必要なことがあると思っています。
一つは、新しいことを創ること。
もう一つは、解決を上手くできること。

あわわの師さんそれは、「新規展開」と、「深堀り」の両面の事業展開ということですね。

門倉社長:その通り!
もう一つは、これは自分の課題なんだけど、オーラを出さないことだね。
いい車乗ったり、高い時計をはめたりしないこと、ね。
こうすると、ヒトが離れて行ってしまうんだよね。
人が、寄ってくるようにならないといけない。

俺は偉いんだ!というオーラを出さず、自然体で、いること。そういう意味で、ウチの会長の白柳は、天才的な人で、僕は、白柳の下で、それを学びました。

僕、こんな感じで、オープンなんですよ。
だから、僕には、ヒトが寄ってきて、情報が入ってくるんです。これを大切にしていきたいですね。

若い経営者に向けてのメッセージ

あわわの師さん門倉社長は、八王子商工会議所の青年部の会長を務められておられますね。若手の育成にも、熱心に取り組まれているとお聴きしています。このインタビュー記事を読まれている、若手経営者へのメッセージをお願いします。

門倉社長:何かをできるヒトというのは、核を持っているヒトです。

あわわの師さんそこでおっしゃる「核」というのは、何でしょうか?

門倉社長:「理念」だね。
普通のヒトっていうのは、現在から何年たっても、「自分」や、せいぜい、「家族」程度の幸せしか、考えないんです。自分や家族のための幸せしか考えないヒトは、何も成し遂げられない。

こういうヒトは、「何かができるヒト」ではないよね。

何かができるヒトというのは、それを越えた、他人のための幸せに取り組み始めるヒトだと思う。

あわわの師さんそこでいう「他人」は、経営者の場合、お客様や従業員ということですね。

門倉社長:そうそう。「他人」の幸せのために、取り組むことができる人物が、「核」を持った人物になりえるのだと、僕は思うな。

あわわの師さん今日は、お忙しい中、お時間をいただき、ありがとうございました。

(門倉社長は、私に挨拶をされ、速やかに会議室から出ていかれた。次のスケジュールが詰まっているようだ。その日の朝、深夜便で香港から帰国されたばかり、という日程でのインタビューだったにもかかわらず、だ。「燃えて仕事をしている」感覚がリアルに伝わってきた。)

【インタビューを終えて】

豪快にして、深遠、しかも勤勉

兎に角、門倉社長の存在感は、物凄い。

インタビューをする会議室に入ってこられる前、たまたま会社にお越しになられた来客を廊下で案内をされておられたのを私は観ていた。そのヒトたちの中で、独りだけ圧倒的な存在感を放って、すぐに彼だとわかった。

インタビューの最中にも、豪快に話し、聴くものを引きつける。その引力は、おそらくは、営業や、現場の職人さんたちを束ねる組織づくりの中で、身に着けてきたものだろう。

しかし、一般的に、このような豪快なタイプというのは、人物が薄い場合が多い。薄い人徳を、勢いでごまかすタイプだ。

ところが、門倉社長は、その豪快さの中に、真剣さがあり、その真剣さが凄みのレベルに到達している。

薄くない。

「僕は5年で次の社長にバトンタッチしたいんだよう!」と笑う笑顔の下に、「僕は5年で、必ず実績を残す戦略を持っている」という真剣な顔を持っている。

そして、同時に勤勉。
本をよく読む、という社長は多いが、自分で研究してコンクリート研磨技術を磨き、アメリカに行って英語でライセンスを取得してしまうという、理系の大学院の研究者顔負けの努力をする。

「努力なんてもんじゃないです。」

それもそう言って、豪快に笑い飛ばす。

「これは書かないでね」と言われて、宇宙の惑星に建設をするための資材を、どう、その惑星で調達するか、真剣に模索を始めている、という話をされる(書いちゃいました。ごめんなさい!)。

門倉社長なら、本気で模索され、いつか実現されるかもしれない。

「エイトの社長を後任に任せました。これからは、宇宙に挑みます。」こんな挨拶状が、5年後、私のところにも、来るような気がしてならない。

爽やかなインタビューだった。

株式会社エイト サイトURL

https://eight-jp.net

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