水泳を通して、子供たちやシニアの、健康と未来の夢を叶える教育を提供し続ける地域密着企業

金子スポーツ振興株式会社(アクラブ)
発祥の地である、東京の調布店をスタートに、都内6店舗にスイミングクラブを展開し、地域の人たちの健康を守る企業、金子スポーツ振興株式会社。アクラブ・ブランドの、スイミングクラブを運営する企業だ。

現在の代表取締役の、金子日出澄社長のお父様が創業され、これを日出澄社長が事業承継をされた。

東京都の調布市は、ゲゲゲの鬼太郎の、水木茂氏ゆかりの街。ドラマ「ゲゲゲの女房」の舞台になった、かつては田園の広がる穏やかな都下の街であった。金子社長のお父様は、ドラマの中で登場した、のどかな調布で代々の旧家が所有する農地を、子供たちの教育のために転用され、幼稚園とスイミングクラブを創業した。

金子日出澄社長は、そのご長男として、スイミングクラブを事業承継され、現在のアクラブ・ブランドを展開された。

現在のアクラブのスイミングクラブは、スタート段階の顧客である子供たちに加え、今では、地域の成人やシニア層も通い、地域の幅広い層の体力づくりを支えている。

そのトップである金子日出澄社長のお話をお伺いするため、東京調布市国領町の、アクラブにお伺いした。

あわわの師さん本日は、東京調布市にある、アクラブのスイミングクラブ2階にある、金子スポーツ振興株式会社の、社長室にお伺いしております。
こちらの社長室には、アクラブから出た水泳選手の皆さんの、オリンピックの記念品がたくさん並んでいますね?
素晴らしい、壮観です。

アクラブ調布店

金子社長:ありがとうございます。

私ども、勿論、オリンピックに出る選手だけを育成する企業ではありませんが、選手の皆さんが活躍され、お陰様で、結果的に、過去12名のオリンピック選手を出させていただきました。

あわわの師さんなるほど。
アクラブさんの、主なお客様は、各店舗の地域のお子様かと思いますが、お子様たちにも、多くのオリンピック選手が輩出されたことは、励みにもなりますよね。

金子社長:そうですね。お客様だけでなく、従業員も新聞に載った「アクラブ」の文字をご自身の家族やお孫さんに自慢したり等、ちょっと誇らしい気持ちになるようです。

私の父は、ここ、調布には、子供たちが溌溂と泳げるところがなかったことから、子供たちの教育のために、スイミングクラブを造ったわけです。

今では、子供たちに加え、成人の方や、シニアの方にも、ご利用いただいております。ただ、やはり、お客様の80%が、お子さんですね。

巨大な「固定費産業」を、どう経営して継続させるか?

あわわの師さん一方で、経営のお話になりますが、スイミングクラブという業態は、固定資産と設備投資が大きく、減価償却費も莫大で、更に、人件費比率が高い産業ですよね。いわば、巨大な固定費産業だと思います。
そうなると、少子化の流れの中で、子供の人口が減ると、経営的には大変ではないでしょうか?

金子社長:そうですね。

実は、業界全体で言いますと、スイミングクラブは、今から、15~16年前に、淘汰されたと言われています。

1970年代から、ブームが来まして、非常に多くのスイミングクラブが乱立しました。これが、1990年代に淘汰され、今では、適正均衡を保っています。少子化ではありますが、ジュニア層のスイミングクラブへの参加率が上がったことで全体の登録数は安定しております。

あわわの師さん設備投資が大きいため、ブーム後の参入障壁になっているわけですね。

金子社長:はい、特にプールは初期費用も維持費も高コストとなります。
私どもは、お陰様で、生後6か月からスタートするベビークラスから、90歳代のお客様まで、幅広く地域の皆様にご活用いただき、安定経営をさせて頂いております。

ただ、そうは言っても、店をどんどん出店できる業態ではありませんから、経営的にみると、拡大路線を走るということも、出来ませんね。

「ヒトに教わらなければ出来るようにならないスポーツ」という特性

あわわの師さんなるほど。
そのような中で、金子社長は、企業の経営理念として、どのような姿勢を重視されておられますか?

金子社長:はい。

例えば、オリンピック出場選手育成などは、勿論、素晴らしい夢のあることではあるのですが、ほとんどの子供たちや選手から観れば、これは縁のない話になります。

水泳というのは、人間の身体の構造上、他の陸上運動と異なり、「人に教わらなければ体得できないスポーツ」なんです。

つまり、陸で生きる人間は、泳ぐ技術を自動的に身につけることはできないんですね。

そうなると、安全に泳げるようになるためには、きちんとした指導者につかなければならないわけです。

日本には、水辺が多いから、泳ぎを知らない子供たちが増えれば、水難事故は間違いなく増えます。自己防衛という点からも大切な生活スキルだと思います。

そうなると、水泳指導というのは、人間にとっての、ベースとなる体育教育だと思うのです。

あわわの師さん確かに。
水泳は、自動的に、出来るようになるものではありませんよね。

金子社長:水泳は、血行を促進し、ストレスを軽減したり、呼吸機能の強化により小児喘息などの解消にも繋がります。非常に健康増進にも適したスポーツです。

私自身も、元水泳の選手だったのですが、仕事に入ってから、泳ぐ時間が、ほとんどなくなりました。

体力低下を実感した40歳以降、水泳を再開し、現在もお客様と一諸に週2回程度、泳いでいます。早朝に泳いだ後の爽快感は最高で、すべてのストレスから解放される気分です。

ロットネスト海峡スイムにも挑戦された金子社長

このような水泳の非常によい効果に着目し、技術とともに、健康維持や人間づくり、努力をする資質などを、水泳を通して育成してゆくサービスを地域の幅広い層に提供し続けることが、私どもの経営の基本姿勢です。

技術指導に偏らないことが重要です。

そのため、選手育成についてさえも、オリンピック出場という晴れやかな舞台の後、引退後をどうやって社会で活躍し続けてもらえるかという点も見据えて、コーチには考え指導してもらっています。

スポーツ界の人間教育の問題

あわわの師さんスポーツ界は、今、ご指摘のあった人間教育という点で、多くの課題を抱えていますよね。
様々なスポーツで、指導者の人間性の問題からくる不祥事が読出しています。

金子社長:とても悲しい事象です。まさに、技術指導や大会成果に偏重した指導の在り方が、原因かもしれません。

このようなことを起こさないため、人間造り
という点を忘れずに、水泳の教育事業を進めて行きたいと考えています。

あわわの師さんありがとうございます。
本日は、お忙しい中、お時間をいただき、ありがとうございました。

金子社長:いえいえ、こちらこそ。
遠いところまで、ご足労をいただき、ありがとうございました。

【インタビューを終えて】

心・身体・技
そのバランスを見据えたところにある、地域からの長期的な支持

実は、ある当社の事情で、私が一方的に、一度、金子社長とのアポイントをキャンセルし、新たに、アポをいれ直して、今回のインタビューを行わせて頂いた。

そのキャンセルや、再度のアポイントの申し入れにも、金子社長は、全く嫌な顔一つされず、私を、満面の笑みで迎えていただいた。

インタビューの全体を通して、金子日出澄社長から受けた印象は、スポーツマンらしい、清々しい誠実さだった。

まさに、スポーツマン、かくあるべし、という姿を画にかいたような、人格の備わった経営者だと、私は感じた。

アクラブは、日出澄社長のお父様が創業されたスイミングクラブである。そのうえで、二代目の社長として、体育教育に適任の経営者に事業を承継できたことが、アクラブ・ブランドの、繁栄の原動力になったことは間違いないだろう。

今、私も、仕事柄、多くの事業承継に向き合う企業様とお付き合いをさせていただいている。創業社長側のお話と、承継社長側のお話を、共にお伺いする機会も多い。

その中で、感じる事業承継の最大の課題は、創業社長と、承継社長の考え方や、事業方針に、大きく差異が生じやすく、継続性に問題を生む、という点だ。

事業承継税制をいかに創設しようが、「争族」問題を回避する法務的な防衛策をいかに打とうが、そのようなことで、企業の事業承継が円滑に進むほど、企業という複雑系の、事業承継は簡単な話ではない。

そのような深刻な課題を抱えて、事業承継が頓挫したり、役員や従業員の離反を招いたりする事例を多く観ている私は、アクラブの事業承継は、とても上手くいったのではないかと思った。

創業の父親の目指した理念に、承継する息子が素直に共感し、しかも、息子が水泳という「商品」を愛し、その素晴らしさを心から認め、そして、更に、新しい時代に適合するように、商品サービスを、自社の経営資源に無理をしない範囲で、進化させ続けている。

これこそが、アクラブに、地域の人たちが、安心して通い続けた理由ではないか。

私はそう感じた。

父から子へ。

バランスのとれた、心・身体・技の教育という「あたりまえ」を承継して、経営を継続する。

簡単そうに見えて、非常に難しい課題を、アクラブは、とても、よい形で、クリアーしてきた事業承継の成功ケースだと、私は感じた。

スポーツクラブ アクラブ サイトURL

http://aqlub.com/

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