副業から独立へ

副業解禁の時代?

あいりちゃん最近、副業を解禁する会社が増えてきたというニュースを新聞でよく目にします。昔は、副業って、サラリーマンにとっては就業規則違反になる場合が多かったんですよね。

あわわの師さんそうじゃな。就業規則で副業を禁止していた会社が多かったわけじゃ。ここで副業禁止とは、就業規則で兼業や副業を明確に「禁止」と定めているものだけではなく、兼業や副業を行うことに対し、「会社の事前の許可」を要すると就業規則で定めている場合も含むと定義することとしよう。以下では、これを「副業禁止」と表現することにする。現在の会社は、憲法で保障する職業選択の自由との関係で、明確に就業規則で兼業や副業を禁止するとは、殆ど規定しておらん。ほとんどの会社は、兼業には「事前の会社の許可」が必要と定めている。そのうえで、副業を正直に申請してきた場合、許可しないか、あるいは、許可をしても昇進・昇給に不利な人事的な措置をすることがありえるわけじゃ。つまり、これも事実上、「副業を禁止する会社」と理解すべきじゃ。

多くの副業をしようとする方がぶつかるのは、自分の会社の就業規則に、事前の許可を要する規定があった時、「本当に正直に会社に許可を申し出てよいか」、という点じゃろう。おそらく、これまで、殆どの会社は、このような申し出が従業員からあった場合、よろこんで許可してはいないじゃろうね。

しかし、このように会社が副業禁止をする時代から、会社は今、大きく転換点にたっておる。

正式に社員に副業を解禁すると、正式に発表する会社も現れてきたのじゃ。

例えば、ユニ・チャ-ムは、副業を社員に解禁するだけでなく、本業に隣接した分野での副業を推奨するという画期的な発表を2018年4月に行った。これは、単に労務管理上の配慮というレベルの話を超え、社員の副業を、自社の発展に積極的に活用するという経営戦略的な意図を持った施策じゃな。今後、政府の人材流動性の向上という観点からの副業解禁への政策も後押しし、急速に、幅ひろい業種で副業を解禁する会社が増えるじゃろう。

働き方改革と副業

あいりちゃんそれは、サラリーマンにとって大歓迎ですね?

あわわの師さんうーん。お主は、まだ、未熟じゃのう。

あいりちゃんええ?どうしてですか?

あわわの師さんよいかの。モノゴトには、必ず多面的な側面があるのじゃ。モノゴトを観るとき、表面的・一面的に観るのは、「賢者」の観方ではない。

あいりちゃん修行が足らず、申し訳ありません。どういうことでしょうか?お教えください。

あわわの師さんでは、教えて進ぜよう。
企業が副業を解禁する場合、必ず、勤務時間外での副業がその対象となる。

あいりちゃんそれはそうですよね。仕事中に副業をやってしまったら、これは、流石にどこの会社でも、懲戒の対象になるでしょうね。

あわわの師さんそうじゃな。そうすると、どうじゃ?副業をやっている人の実質的な労働時間はどうなると思う?

あいりちゃんあ!これって、働きすぎの問題が発生するっていうことですね?

あわわの師さんそうじゃな。現在、本業と副業の労働時間を合算して労働時間を検討するという案も検討されているが、おそらく、これは、現実問題として、殆どの本業側企業の経営者はのまんじゃろう。本業はしっかり勤務時間内に労働生産性をあげてやってください、それ以外に自分で副業を行うことを認めましょうとなるじゃろう。そうなるとどうなるかの?

政府は、今、働き方改革で、ワーク・ライフ・バランスを重視し、残業の規制を企業に求めておる。その一方で、副業を解禁したら、労働者の働く時間は、大幅に増える。働き方改革と副業解禁は、ある意味で、緊張関係に立っている政策だと言わねばならん。

あいりちゃんでも、残業規制というのは、帰りたくても帰れない、という日本企業での「仕事のあり方」を変えようという政策ですよね。
副業は、自ら更に働きたい、という意志を持つ人に、本業の勤務時間以外で副業や兼業の自由を認めるのですから、働き方改革とは融合する関係にあるのではないでしょうか?

あわわの師さんおお!そなたも、とても賢い分析をするのお。本来の筋はその通りじゃ。

問題は、今の働き方改革が、そなたのいう、 「帰りたくても帰れない」ことを是正するという目的を超えた政策に進んでいるということじゃ。

日本人の働き方や労働時間そのものを、他の先進国と同水準にするというのが、働き方改革の大きな目標じゃ。
そうだとすると、一方では、働き方改革でワーク・ライフ・バランスを重視して、労働時間を規制しているのに、もう一方では、副業をやって、労働時間を増やしているということが起きえるわけじゃ。

更に、短時間労働で生産性を向上させるべきなのに、副業をあわせた労働時間が過多になり、本業も副業も中途半端になりかねん。
この点が、副業解禁が齎す第一の問題じゃ。

あいりちゃんなるほど。第一の問題ということは、ほかの問題もあるということですね?

副業をしている人はいくら稼いでいるのか?

あわわの師さん第二の問題は、今度は、副業をする人側にある。
日本人は、これまで、自分のリスクで事業を起業するという教育や方法を教わってこなかったのじゃ。
人材サービスのエン・ジャパンの調査で、今、副業でどの程度の収入をえているかを副業者を対象に調査したところ、以下のような結果になっておる。

「月1万円以上3万円未満」「3万円以上5万円未満」に相当な数の割合が集中しているのじゃ。その他の人も、ほとんどが「1万円未満」じゃ。
5万円以上を副業でえている人の割合は、全副業者の中では非常に少数じゃ。

あいりちゃんええ!みんな、そんなしか稼いでいないのが実態なんですか?

あわわの師さんそうなんじゃ。これが実態じゃ。ほとんどの日本の副業者が、「小遣い稼ぎ」のレベルにとどまり、独立開業に繋がるモノにはなっていないということを意味する。

おそらく、この人たちは、今の時点では、殆ど副業禁止の会社で、会社に黙って副業をしている人たちじゃ。

彼らは、会社との間で労務上の問題を起こしたり、昇進・昇給の機会を失うリスクを犯しておると推測できる。ここではっきり言いたいのは、独立開業に繋がらない副業は、少なくとも現在の法制度の中では、サラリーマンにとって、ハイリスク・ローリターンの行動だということじゃ。

副業を本格的に行うというのであれは、このようなことでは駄目じゃ。

副業は独立を意識して始める

あわわの師さん例えば、「週末起業家フォーラム」は、副業ではなく、サラリーマンを続けながら起業をスタートせよ、ということを推奨する団体じゃ。ある意味、独立の覚悟を決めたとき、すぐにサラリーマンを辞めて、収入を失うのではなく、一定期間、給与収入の入るサラリーマンを続けながら、起業をしなさい、と指導をされておられる。

副業を考えている人は、思い付きの副業で小遣いを稼ぐという発想を辞め、独立や起業の準備を、会社員を辞めずにする、という考えが必要だと、ワシは思うのじゃ。

会社の仕事と、副業の両立というのは、言うほど容易いことではない。

継続的におカネを稼ぐことには、プロフェッショナルとしての負担が伴うものじゃ。

実際、仮に東京で20代の独身者が一人で暮らすとしても、月収として最低でも手取りで20万円は必要じゃ。独立開業をする場合、当然、これだけでは済まない経費がかかってくる。

売上利益(粗利益)ベースで最低でも月収40万円以上を安定的に稼げなければ、まず独立しても継続できないのが現実じゃ。株式会社を設立して、ある程度、将来の内部留保を残す安定的な経営をするとすれば、売上利益ベースで、社員一人当たり70万円は、月間で稼げなければ、安定的な企業の存続ができない。会社を辞めて独立し、すぐにこの利益を稼げるようになれる人は、寧ろ特殊な人というべきじゃろう。

独立開業と副業の間には、厳然とした質の差が存在しておる。

副業解禁ということで、流行に乗るようにして副業をやってみたけど、結果は、友達との飲み代程度の収入をえて終わり、では、殆ど意味がないどころか、大きなリスクを背負い込むことになる。

副業の加重労働が会社の現在の仕事の成果に影響を与えることもあるだろうし、会社の昇進や昇給にマイナス評価を与える可能性もある。よって、ワシは、週末起業家フォーラムが提唱されているように、副業を独立開業が可能なレベルの本格的な仕事に成長させ、会社員時代に、独立を目指し、リスクを下げて、独立することを真剣に目指すことをお勧めしたいのじゃ。端的にいえば、月間の売上利益を20万円から、出来れば40万円、安定的に副業で稼ぎだす、そのレベルの副業を真剣に創るべきだと言いたいのじゃ。

独立に副業を利用することが、正しい道じゃ。

あいりちゃんそうですよね。独立の第一ステップとして、副業を位置付ける覚悟でやらないと、結局、会社の仕事も、副業も、ともに中途半端になってしまいそうですね。

副業をやるにしても、「副」で終わらせず、きちんと、本業に成長させるようにする計画が必要なんですね。

  • 成功した社長に聞く!

大学の講師から、パズルトップメーカーの社長へ独立

シャフト株式会社 清水健太郎代表取締役

代表取締役の清水健太郎社長は、IT教育を専攻する大学の講師からの独立という、異色の経歴のベンチャー事業家。
ご結婚をされ、その4年後に、大学の講師を続けながら、勤務先である大学の承諾をえて、副業としてシャフト株式会社を設立。現在、創業7年。この間、順調に売り上げと利益を伸ばされ、主力商品であるオリジナルジグソーパズルを、日本国内の販売高首位の事業に育て上げた。
副業からスタートし、主力商品の販売高を日本トップのビジネスに育てて、堂々の独立を果たされた清水社長に、その道筋をお聞きした。

続きを読む