自分でできる!株式会社の設立

《 あいりちゃんの独り言 》
私の勤める会社で、副業が正式に解禁されました。会社の説明会が開催され、就業規則が変更されて、これまで会社の承認が必要だった副業が、社員に解禁されたんです。
会社で副業が正式に認められていない場合、会社の承認を受けないで副業を行うと、収入に対する確定申告の結果が、住民税の特別徴収の手続きの中で会社に通知されるため、会社に副業がわかってしまいます。
そのため、会社に内緒で副業をすることは辞めなさい、と、あわわの師さんから注意を受けていました。
でも、会社が副業を解禁してくれたので、これで、私も正々堂々と副業に取り組めます。
副業は、個人事業主として始めることはできるけれど、取引先からの信用や、将来の成長に備えて、はじめから株式会社を設立し、事業の年輪を重ねたほうがよいと思いました。
それで、株式会社を設立し、私が社長になろうと決心しました。

こんなことを考えていた日の夕暮れ。あわわの辻に、あいりちゃんが差し掛かると…

あら不思議。

あいりちゃんは、陰態の世界にある、あわわの師さんの書斎に入り込んでしまいました。膨大な蔵書がある、あわわの師さんの書斎で、あいりちゃん、株式会社の設立について学びます。

あいりちゃんと学ぶ、自分でできる!株式会社の設立

会社は、私たち「生きているヒト」(これを民法の世界では自然人と呼ぶ。)と同様に、取引社会の中における権利や義務の帰属主体になれる団体である。

このような団体を、民法の世界では、自然人に対して「法人」と呼ぶ。例えば、同じような団体でも、組合や同窓会のような組織は、法人ではない。

そのため、ヒトが出生によって誕生して権利義務の主体になるのと同様に、会社もまた設立という特殊な行為を行うことによって、はじめて組合や同窓会とは違う、独立の権利義務の主体になることができるわけだ。

ここでは、会社の中の代表選手である株式会社の設立の方法を学ぼう。特に、ここでは、読者の方が自分一人で設立することができる株式会社の設立の方法を取り上げる。

発起設立と募集設立の手続きの流れ

《 手続き1 》 発起人を決める

株式会社が設立されると、その活動は代表取締役が行う。しかし、設立されるまで、会社に代表取締役がいないわけだ。よって、設立をする人が必要だ。これが発起人である。

株式会社の設立の方法には、発起設立募集設立がある。

発起設立は、発起人自身がすべての資本を出資して会社を設立する方法。

対する、募集設立は、発起人以外から広く出資者を募って設立する方法。

自分で会社を設立する方は、迷わず、発起設立の方法で行おう。断然、簡単だ。

もし、出資者が複数いる場合、会社を設立するときに出資をされる方の全員に発起人になっていただこう。

自分で100%出資して会社を設立する場合には、発起人は自分一人で十分である。

《 手続き2 》 定款を作成する

会社は定款の作成をもって権利義務の主体たる能力(権利能力と呼ぶ。)を取得する。

定款には、会社の住所を記載する。あいりちゃんのように、副業で会社の作る場合、会社は自宅でも十分、可能である。但し、自宅が賃借の場合で、会社を自宅に設立する場合、必ず、事前に大家さんの承諾をえる必要がある。大家さんの承諾をえずに、借り家に会社を入れると、無断転貸となり、最悪の場合、大家さんから賃貸借の解約を受ける可能性があるので注意が必要だ。

さて、定款作成の話に戻ろう。定款作成は、とても重要な行為だ。

よく、自分の会社を設立する手続きを、司法書士さんなどの専門家に依頼し、定款作成を丸投げしてしまう人がいる。仕事に丁寧な司法書士さんであれば、きちんとその内容を依頼者に説明してくれるかもしれないが、そうでない司法書士さんもいる。手間を省くため、定款の内容をきちんと依頼者に説明しないで、仕事を進めてしまう。

定款は、会社の「憲法」のようなものである。その内容で、会社の資本金や取締役・監査役などの機関構成が決まるので、今後の会社経営の最重要の内容が、ここで決まってしまう。

例えば、取締役会を設置する会社なのか、取締役会の非設置会社なのか、といった定款の規定によって、会社の重要な決議を、どこの機関で行うのかが変わってくる。

また、後々、取締役を増員しようとしたとき、取締役の員数の規定に反してしまい、取締役の増員に定款変更の株主総会決議が必要になったりする。

そのため、定款は、出来れば、社長になる方が自分で作成をするか、依頼する司法書士さんときちんと内容を協議し、将来の会社の拡大を考慮したうえで、作成するようにしたい。

尚、自分で作成する場合、作り方にはコツがある。

会社を設立する際に作成する定款(これを原始定款と呼ぶ。)は、公証人の認証が必要だ。

この公証人は、公証人役場という、普段、馴染みのない役所におられる。この公証人という方は、元裁判官など、非常に優れた法律家のOBであることが殆ど。

しかも、彼らは忙しくない!

そのため、事前に、公証人役場にFAXで定款を送ると、丁寧に赤で訂正をしてくれるのだ。
自分でネットなどで情報を集め、定款の原稿を作成し、公証人にチェックしてもらうという方法が、一番、お勧めの方法。チェック代はタダだ。

定款認証には、手続申請費用が50,000円、紙で申請すると、印紙税が40,000円かかる。

この紙で申請をする印紙税を削減するため、電子申請を利用して40,000円の印紙代が削減できると、盛んに司法書士が宣伝している。

電子認証は、そのシステムを自分で整えると、40,000円以上かかるため、電子認証をする場合には、システムを整えた司法書士等の専門家に依頼するしかない。

但し、一点注意が必要だ。

印紙税が40,000円削減できたからと言って、司法書士に依頼すると手続きの総額が安くなるわけではないのだ。つまり、司法書士の手数料が、40,000円よりも高いのが一般的なのだ。

会社を設立するときは、出来るだけ手続きの総費用を安く抑えたいもの。また、今後の経営で登記申請はたびたびおこなうことになるから、これを社長が自分でやれるように、この機会に勉強しておくのもお勧めだ。

実は、会社を設立すると、その後、結構、登記の申請というのは多い。そのたびに、司法書士に費用を払うというのは、経費も馬鹿にならない。簡単な登記申請は、社長が自分でできるようにしておくのも、重要な経費削減策の一つ。別に司法書士に頼んだからと言って、「特別に上等な登記」ができるわけでもないのだ。

仮に印紙税を払ったとしても、自分で手続きを進めるメリットがここにある。

《 手続き3 》 資本金の払込み

定款が準備できたら、次はいよいよ資本金の払込み手続きだ。

かっては、株式会社の資本金は最低1,000万円とされていた時代があったが、今は、この最低資本金の規制は日本ではない。そのため、資本金1円でも会社が設立できるようになった。

しかし、実際には、流石に1円で会社を設立するというのも、「どんなもん?」

例えば、あいりちゃんのように、本業ではなく、副業で会社を作る場合、利益が出ないうちは、自分の給与を会社から受け取る必要はないわけだから、資本金を大きくする必要性もない。

では、資本金はいくらにするべきか?

実は、会社の資本金というのは、次に記載するように、銀行の口座の払込を行い、そのコピーをとってしまった後は、すぐに引き出して使ってしまってもよいのである。

そのため、資本金は、次のような費用を見積もって考えて決めるべきだ。

●設立登記に必要な費用
資本金が2142万円以下であれば、一律150,000円。
●その他、会社の事業の開始に必要な費用
例えば、会社に必要な3印の費用などを、資本金から出してもよい。

あまり初期費用がかからない事業であるとか、副業の立ち上げで、自分の本業の給与から事業に必要なランニング費用を出すことができる場合、最低の資本金が150,000円ということでよい。

さて、資本金の払込の手続きの説明をしよう。

現在、法務省から出ている通達によれば、発起人かどうかにかかわらず、会社の代表取締役になる方の個人の普通預金口座で資本金の払込ができるようになっている。

まず、代表取締役個人の普通預金口座を1つ用意し、残高をゼロにする。

そこに、株主になる発起人に資本金を振り込んでもらう。振込の日を決めて、一斉に払い込んでもらうのがコツ。

この通帳を法務局の定めた方法でコピーし、これで資本金の払込を証明する添付書類にすることができる。このコピーの方法は、後で述べる法務局の登記の相談で確認するのがよい。

《 手続き4 》 登記申請

定款の作成で株式会社は権利能力を獲得してるが、これを第三者に主張するためには設立の登記が必要となる。

登記申請のために必要なものに、会社の実印がある。会社の経営には、普通、3印と呼ばれる3つの印鑑が必要である。

●実印
これが、物凄く重要な印鑑。印鑑証明書を添付する場合にのみ捺印する、「滅多に押してはいけない印鑑」と解釈しておくべき。必ず作成後は、代表取締役が金庫で保管しよう。
●銀行印
銀行に口座を開設する際、使用する印鑑。銀行の取引を、あちこちの印鑑で行ってしまうと、後で、どの印鑑で何の口座を作ったかわからなくなるので、銀行印を統一しておくべき。代表取締役か、経理の責任者が保管すべき印鑑。
●角印
この印鑑は、見積書や請求書に気楽に押す印鑑。経理の担当者に預け、押してもらうのがよい。

尚、BtoBのビジネスをされる企業の場合、これのほかに、契約書に捺印する印鑑を別に作っておくことがお勧めだ。

実印で、契約書の捺印をする企業があるが、実印は、印鑑証明を添付する最重要の時にのみの捺印に使い、あとは社長の金庫保管とすべきであるため、契約書への捺印は、別の印鑑で行うようにすることが望ましい。

さて、印鑑が出来たら、いよいよ登記申請の書類作成にとりかかろう。

添付書類は、その会社の内容により異なる。
書籍やサイトで、申請書や必要書類の内容は、様々な情報があるので、それを参照されたい。

但し、ここでは、一点、その場合のコツを記載しておく。

登記申請の添付書類や申請書は、頻繁な法改正や法務局の通達により、変更される。そのため、非常に複雑だ(だから、司法書士さんという登記の専門家が成り立つわけだ)。

そのため、自分で作成し申請する場合、必ず、最新の情報を記載した本やサイトを参照すべきである。

特に注意を要するのは、インターネット上の情報だ。古い情報が修正されていなかったりすると、手続き自体が間違えてしまう。

そこで自分で申請をする人が利用したいのが、
法務局の無料登記相談だ。

申請書や添付書類を準備したら、電話予約をして、法務局に足を運ぶ。そうすると、非常に丁寧に書類を法務局で確認してくれ、正しい方法を教えてくれる。

法務局の担当者は、本当によく勉強されており(お金をとる司法書士より絶対によく知っており、間違わない)、確実に無料で教えてくれるのだ。間違えたところは、何故、間違えなのかを丁寧に教えてくれる。

要は、定款作成にしても、登記申請にしても、今日の役所は、本当に丁寧に国民に指導サービスを無料で提供してくれる。我々、高い税金を払っているのだから、是非、このような国のサービスを利用しない手はない。

登記申請日は、会社の設立記念日になるから、日を選んで法務局に申請しよう。

法務局に申請すると、登記が完了する日を教えてくれる。

登記が完了すれば、めでたく会社が設立を堂々と発表できるわけだ。

詳しくは、「おせっかいにも、1回無料で経営をアドバイスします」をご活用ください。

会社の設立や、その後の行政への届け出を自分で進めるという方で、手続きの進め方・定款や登記に関する相談をしたい方。

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